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新年明けましておめでとうございます。

今年、一発目のレビューはFFUSA。

知らない人も多いのではないだろうか。筆者も中学生の頃、行きつけのゲームショップのワゴンに放り込まれているのをみて、「こんなのあったのかよ」と驚きつつも救出(購入)し、帰宅して速攻プレイしたものの速攻でがっかりしたのを覚えている。当時はクリアどころか相当序盤で投げてしまっていたと思う。パーティが2人しかいない、という衝撃的な仕様しか覚えていない。

意外にもVCでの配信が決まったので、懐かしさ半分、当時のがっかりも今ではどう感じるのかという検証目的半分、といった理由でダウンロードしてみた。当時のがっかりの記憶が結構根強く、800ポイントの価格には正直不満が残ったが。(ワゴンから救出したときは確か300円だったような)




ちなみにタイトル画面を見てもらうと、そこには「ファイナルファンタジー」という言葉はない。事実、開発スタッフもGB版SA・GA3を手がけた方々であり、言われてみれば戦闘がフロントビューで味方が後姿で表示されていたり、ダンジョンや町を移動する際にジャンプができたりとゲームシステムもかなりそれと似通った部分がある。要は、日本のスタッフがアメリカ向けに開発したソフトであるが、それを翻訳して日本にも展開させたという、いわゆる逆輸入品的な存在である。おそらく、「ファイナルファンタジー」という名はその際に付与されたものだろう。ただ、ふたを開けてみるとストーリー展開は初代ファイナルファンタジーをベースとしているように見受けられる部分も多々あり、その名を呈するのもあながち間違ってはいない感じでもある。まあ、何が言いたいのかというと、マーケットを意識してファイナルファンタジーの名をつけるのであればタイトル画面もちょっと手を加えればいいのに、と思ったということなんだが。それだけ。実際、翻訳によってゲーム中のテキストが書き換えられているんだから、その勢いでタイトル画面もいじれたはずなのだが。ちょっと手抜き感。




システムはターン制バトルのオーソドックスなRPG。いや、オーソドックスではないか。
前述のとおり、パーティは最大で2人である。しかも、2人目のキャラ=仲間は固定ではなく、ゲームの進行によって抜けたり別のキャラが加入したりする。しかしながら、仲間の装備・魔法・レベル(!)は固定であるため、パーティといいつつもNPCのような扱いとなっている。

つまり、入手した装備品・魔法・経験値は全て主人公にのみ反映される。さらに、装備品にいたっては常に自動で最強装備となる仕様になっており、任意で装備品の変更をすることができない。ただし、必ず新規装備品の方が旧品より性能を上回っているつくりなので特に支障はない。


魔法はMP制ではなく、使用回数制。これも初期FFにちなんだ仕様か。ちなみに、白・黒・封印という3タイプごとでの使用回数になっている。上限は「9」ではなく二桁まで増えるのでご安心を。なお、魔法の習得方法は宝箱等の特定イベントでのみという潔さ。レベルアップで習得したり、店で購入するということはない。

ちなみに、宝箱には「いかにも宝箱」なものと、木製の簡素なものの2種類存在している。「いかにも」な方は通常どおり一度中身を手に入れるとそれで終わりであるが(一度フィールドに戻ると空の宝箱自体も消滅する)、木製の方はフィールドに戻るだけで何回も中身が復活する。一応、精霊か何かがこっそり補充しているという設定らしい。補充。だったら、いちいち木箱なんかに詰めずに直接渡してもらいたいものだが、まあその辺のツッコミはよしとして、木箱に入っているアイテムは必ずポーション等の消耗品であるため、やや根気はいるが地道に出たり入ったりを繰り返せばこういったアイテムは購入することなく所持数MAXにすることができるので便利。便利というのもちょっと違う気がするが。


バトルはランダムエンカウントではなくシンボルエンカウントとなっている。ロマサガやサガフロシリーズと同じそれであるが、このゲームの敵シンボルは移動をすることはない。ただ、基本的に1マス分の通路を塞ぐ形で配置されているので、ゲームを進行させるにあたりバトルを回避することはほとんどできない。なお、1バトルあたりの敵パーティは最大でも3匹となっている。

なお、バトルの際、仲間キャラの行動をマニュアルにするかオートにするか設定が可能。マニュアルは通常どおりプレイヤーが毎ターン行動を指定するモードだが、オートは戦況に応じた行動を自動でとらせる、というモード。特にオートの場合、回復優先で動くルーチンになっているのか、例えば先に敵の攻撃を受けて大ダメージを受けてもその後の仲間のターンで回復を行ってくれる、というようなメリットがある(同一ターン内で臨機応変に動いてくれる)。よって、魔法やアイテムを温存したい場合は不向きだが、ボス等強敵相手の場合は非常に役立つことが多い。戦闘中でもマニュアル⇔オートの切替は可能なので、うまく使い分けると便利。


バトルといえば、このゲームの最大の特徴(あくまでも個人的に)として、被ダメ量に応じて敵グラフィックが変化する、という要素がある。例えば鳥系のモンスターであれば羽が抜けた状態になったり、トカゲ系のモンスターであればぐったりした姿勢になったり、といった具合だ。影響度は微々たるものだが、マンネリしがちな戦闘に一役かっている。特にボス戦では、このグラフィック変化で戦況の優劣が視覚的に捉えられ、「あと一息で倒せる」という心境になれたりするので前述のそれが顕著に表れる。当時としては結構面白いシステムである。


フィールドマップの移動は特定のポイントごとの移動となっている。RPGツクール3やロマサガ2と同じイメージ。ポイントには街やダンジョンの他に「バトルポイント」というものが存在する。これに進入すると即座にザコ戦がはじまり、勝利すると再びフィールドマップに戻る。進入・通過はプレイヤーの自由なのだが、1ポイントあたり10回勝利すると特定のボーナスが得られるので地道に潰していくのが吉。ポイントごとに出現する敵の種類はだいたい固定されているうえ、10回連続ではなく合計10回勝利すればよい(途中で街に引き返して回復する、といったことが可能)ので、特に難しい話ではない。


もうひとつ、街・ダンジョンの移動中に装備中の武器に応じたアクションが行える、というのも特徴のひとつか。武器は剣、斧、爪、爆弾の4種類あり、斧は木を切り倒して先に進める、爪は壁に引っ掛けてよじ登れる、といった具合にそれぞれ固有の役割をもっている。そのほとんどが移動範囲を拡張するためだけの機能なのだが、ダンジョンの構成にこれらの概念が効果的に盛り込まれており、純粋に楽しい。パズル的な攻略を求められるところもいくつかある。同様の仕掛けを備えたRPGは他にもあるが、本作においては決して蛇足ではない。武器の切替もLRボタンで、という手軽さで見事なまでにストレスフリー。ダンジョン攻略時の達成感にうまくつながっていると思う。




パーティが2人、防具の最強装備はフルタイムオート、消耗品の無限入手、敵パーティは最大でも3匹、仲間のオート操作、これらをひっくるめて考えた筆者の結論として、初心者向けRPGだな、という答えにまとまった。
ザコ戦はほとんどが2ターン以内で勝利できるし、味方より素早い敵もめったに出てこない。ボス戦も「死なないようにする」という超基本作戦で挑むだけでOKだし、死んでもHP全回復で復活できる「レイズ」がある。
逆に、この気軽にプレイできる感じが心地よい、と言えなくもない。

シンボルエンカウント制の最大の欠点として、「やらなければならないバトル」が初めから見えているせいで、あまりにも数が多いとちょっとげんなりしてしまう、というのがあるのだが、このゲームはザコ戦が本当にザコなので(笑)結構サクサク進む。ただし、味方パーティは最大でも2人であるためどうしても戦闘の展開が単調になる。さらに、モンスターの種類も決して多くは無く、それが「単調」への追い風になってしまっている。しかし、一度倒した敵シンボルはそのダンジョンから脱出しない限り復活しないので(別の部屋や階へ移動するだけでは復活しない)、分かれ道や取れそうで取れない宝箱等、気になる部分があれば安全に捜索できるのはよい。

そして前述のとおり、ダンジョン攻略は結構面白みがある。同じ道を行ったり来たりしているうちにダラダラと戦闘回数だけが増える、というようなことにはならないためダンジョン捜索の楽しい部分だけをしっかり楽しめる、といった感じがした。まあ、初めて通る道での戦闘は避けられないけど。

ストーリーは残念ながらほぼ空気。予想どおりの展開、魅力のない会話。フィールド移動もポイント単位だしストーリーの進行状況に合わせて次の目的地が解禁されるので、ストーリーを把握しなくても迷うことはまずない。行けるようになったポイントへ移動して、そのダンジョンの奥にいるボスを倒せば、また新たなポイントが解禁されるのでそこへ行く。大雑把に言えばこの繰り返しである。

そういう意味ではRPGにおける醍醐味のひとつが欠如しているわけだが、それでも「昔のゲーム」と割り切れば残されているゲーム本来の面白みはそこそこ堪能できた。




とまあ、筆者的にはまずまずの良作であったこのゲーム。
ただ、ゲームのタイトル画面には入っていなかったくせに「FF」というブランドが付けられているのである。鯛は腐っても鯛のようだが、FFはいかがなものか。残念ながら、世間的にはクソゲーという話がかなり広まっているように思える。

日本でのリリースが1993年。なんと、1992年のFFⅤより後のリリースである。これは確かに同じFFという土俵では見ることが出来ないほどの差である。特にゲームシステムに注目した際、おそらく十中八九の人はこれをFFとは言わないだろうから、どうしてもクソゲー扱いされてしまうのだろう。


販売戦略でFFの名をつけたのが逆に低評価へと繋がってしまう、という皮肉な結果である。とは言っても、FFの名がなければ筆者も買うことはなかっただろうし、当時はがっかりしても今プレイしなおしてみるとそこそこに感じることができるような人が筆者の他にもいるならば、まあこれはこれで良かったのかもしれない。


ゲームをプレイする目的って人それぞれで、必ずしも純粋に楽しさのみを求めてるわけではないと思うのだが、少なからずゲームをプレイして学ぶこともあるわけで、そういった角度を計れるものさしを持ちあわせている人にとってはひとつのネタになるソフトかもしれない。
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2011.01.06 / Top↑
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